試験の全体像
2級電気通信の第二次検定は全5問必須・記述式。試験時間は2時間。合格基準はおおむね得点率60%以上です。問題1の経験記述が合否の重心になります。
工事概要+指定された2テーマ
施工留意・JIS記号・穴埋め
ネットワーク工程表 または 安全対策
6語から2語選び技術内容を記述
建設業法・労安/労基・電波/有線/端末
年度別の出題傾向
添付の令和元〜7年度問題から抽出。問題番号の中身は年によって入れ替わりますが、型は安定しています。
| 年度 | 問題1(経験記述) | 問題2 | 問題3 | 問題4 | 問題5 |
|---|---|---|---|---|---|
| R1(2019) | 安全+品質 | 施工留意/JIS記号/光管路布設 | ネットワーク工程表 | ONU・SIP・衛星TV・防災無線・GPS・公開鍵 | 建設業法/安衛則/端末設備等規則 |
| R2(2020) | 工程+品質 | 施工留意/JIS記号/地デジ受信 | 安全用語(4S・TBM等) | FTTH・導波管・CDMA・パリティ・ルータ・IPS | 建設業法/労基法/電波法 |
| R3(2021) | 工程+安全 | 施工留意/JIS記号/LAN配線 | ネットワーク工程表 | SIP・量子化雑音・シンクラ・Flash・STB・DDoS | 建設業法/労基法/電波法 |
| R4(2022) | 工程+品質 | 施工留意/JIS記号/伝送劣化 | 労災防止対策(2語選択記述) | SWハブ・シリアル・IPマルチキャスト・ハンドオーバ・スパイウェア・ヘッドエンド | 建設業法/労基法/有線電気通信設備令 |
| R5(2023) | 安全+品質 | 施工留意/JIS記号/JIS X 5150 | ネットワーク工程表 | GIファイバ・衛星TV・RAID5・Bluetooth・PON・ワーム | 建設業法/安衛法/端末設備等規則 |
| R6(2024) | 工程(工期遵守)+品質(機器・材料) 課題+対策+結果 |
施工留意/JIS記号/TV共同受信 | 労災防止対策(2語選択記述) | IP電話・パラボラ・メディアコンバータ・SSD・VLAN・GPS | 建設業法/安衛法/電波法 |
| R7(2025) | 工程(遅延防止)+安全(作業現場) 課題+対策+結果 |
施工留意/JIS記号/無線LAN・PoE | ネットワーク工程表 | SWハブ・防災無線・Wi-Fi6・LPWA・シンクラ・生体認証・低軌道衛星 | 建設業法/安衛則/有線電気通信法 |
読み取れるパターン
- 問題1は「工程・品質・安全」の3テーマから毎年2つ。R6以降は「課題/対策/結果」を分けて書かせる。
- 問題2設問1は「資材受入検査・機器搬入据付・ケーブル施工・管路貫通・工場検査」が繰り返し出る。
- 問題3は「ネットワーク工程表」と「安全対策の選択記述」がほぼ交互。
- 問題4は通信設備用語+情報セキュリティ+放送/無線が混在。定義・特徴・原理を2〜4文。
- 問題5は建設業法が毎年。残りは労基/安衛と、電波法・有線電気通信法・端末設備等規則。
問題1 経験記述の書き方
ここが配点最大。丸暗記の転記は減点対象になりやすいので、自分の工事に置き換えることが前提です。ただし型は共通です。
工事概要で落とさない項目
- 工事名(「〇〇ビル光ケーブル更改工事」など具体名)
- 発注者名(二次下請なら一次下請業者名。発注機関所属なら所属機関名)
- 工事場所(市町村まで)
- 工期(年月日〜年月日)
- 請負概算金額(桁が工事規模と矛盾しないこと)
- 工事概要(何を何芯・何台・何系統、どこに据え付けたか)
- 立場(現場代理人/主任技術者/担当技術者 など)
令和6年以降の型(最重要)
指定テーマごとに次の2段で書く。
- 課題:現場条件 → 何が問題か → 放置するとどうなるか
- 対策と結果:実施内容(数値・回数・基準値)→ 確認方法 → 結果
テーマ別の定番ネタ(電通向け)
おすすめ記述解答(置き換え用)
以下は学習用の型です。工事名・数量・日付は必ず自分の実績に置換してください。実在しない工事を書くと失格の注意があります。
共通の工事概要サンプル
工程管理(工期遵守/遅延防止)
令和6・7形式:課題 → 対策と結果
旧形式(重要事項+措置)用の短文
措置:他工種との週次打合せで着手可能日を確定し、融着班を増員。地上で端末処理を先行し、切替を夜間に設定して工期を遵守した。
品質管理(機器・装置・材料)
令和6形式:課題 → 対策と結果
安全管理(作業現場)※誘導員配置のみは不可
令和7形式:課題 → 対策と結果
別現場向けの短ネタ集
- 携帯電話基地局:鉄塔上作業の墜落、電波発射停止時間の工程、防水コネクタのトルク管理。
- 地中光管路:通線前の管路点検・水抜き、後分岐HHでの余長確保と曲げ半径、牽引張力管理。
- TV共同受信:ブースタ利得過大による過入力、レベル測定と傾斜調整、シールド性能のある収納箱。
- 無線LAN:AP位置の干渉調査、PoE給電容量、チャンネル設計。
問題2 施工留意・JIS記号・穴埋め
設問1 施工管理上の留意(頻出語の定番解答)
4語から1語選択。書く量は「具体的に2〜4文」。検査項目・基準・禁止事項を入れる。
資材の受入検査(R1・R3・R6)
機器の搬入・据付け(毎年級)
OTDR(光パルス試験器)の測定
UTPケーブルの施工・成端
CD管・VE管・管路貫通
光ファイバ心線接続/メタル接続
メタル:心線対照を誤りなく行い、浸水対策(クロージャのガスケット・防水)を確実にする。接続抵抗が増えないよう圧縮・はんだ条件を守る。
工場検査/工具の取扱い/地中管路通線
工具:絶縁工具の被覆損傷を使用前点検。高所からの落下防止をヒモ等で行う。
地中管路:通線前に管内の滞水・土砂・既設ケーブルを確認し、mandrel等で通過確認。牽引張力と側圧を管理する。
設問2 JIS記号
2つのうち1つを選び、日本語の名称+機能/概要。迷ったら機能が書ける方を選ぶ。
設問2は名称+機能または概要。1級は系統図上の2記号、2級は提示記号から1つ選ぶ年が多い。図は試験用の学習図(JISの複製ではない)です。本番は問題図の形を優先してください。
電話・構内交換
TV共同受信・CATV
非常放送・拡声
防犯・インターホン
その他の頻出記号
2級でよく出る選び方
- 一般配線の機材注記がある年は、DSU・RT・接地・クロスコネクトを優先。
- テレビ共同受信の注記がある年は、混合器・分配器・分岐器・ブースタ・直列ユニット。
- R7はテレビ共同受信または一般配線の記号から1つ選択。
・DSU:デジタル回線を終端し、端末側インタフェースへ変換する装置。
・RT:減衰した信号を増幅し、波形を整えて再送する中継器。
・接地:金属箱体を大地に接続し、漏電時の感電と誘導障害を防ぐ。
・増幅器:入力信号の電力を増大して後段へ送る。
・スピーカ:電気信号を音に変換して鳴動させる。
・分配器:1系統の信号を複数系統へ分け、各端子へ送り出す。
記号の見た目は年度で異なる。試験場では「注)」と系統の前後関係を先に読む。
設問3 穴埋めの定番
設問3 穴埋めの定番
- 地デジ受信障害:信号レベルが受信限界以下 → 高利得アンテナやブースタ(R2)
- Cat5eが適当なイーサネット:1000BASE-T/成端コネクタ:RJ-45(R3)
- 熱的じょう乱の雑音:熱雑音/パルス消失・重複:スリップ(R4。ワンダ・ジッタと混同しない)
- JIS X 5150:特定2台を結ぶ伝送路はチャネル、変更に使うのはパッチコード(R5)
- 衛星機器の収納箱:シールド性能/配線完了後は受像試験とレベル測定(R6)
- AP設置:電波到達距離と電波干渉/LANケーブル給電:PoE(R7)
設問3を図で見る
穴埋めは「系統の絵」が頭にあれば語句が浮かぶ。2級で出やすい型を図示する。
基地局(AP)経由
R1 設問3(光管路)の要点
⑵ 後分岐用HH:分岐に必要な余長を確保し、曲げ半径を守って収納。接続部の防水・識別、踏まれないようトレイ固定。
問題3 ネットワーク工程表/安全記述
ネットワーク工程表の解き方
箱の下段は最早開始→最早完了。合流は最大のEFを次のESにする
出題年:R1・R3・R5・R7(ほぼ隔年)。問われるのは所要工期、最早開始/最早完了、最遅完了など。
- イベント①の最早開始を0日とする(問題の表現が「何日目」なら定義に注意。多くの場合、所要日数の累積)。
- 各作業の最早開始=先行イベントの最早到着。
- 合流点は一番遅い先行経路を採用。
- 所要工期=終端イベントの最早到着(最終作業の完了)。
- 最遅はゴールから逆算。合流(逆向き分岐)は一番早い制約。
検算の型:クリティカルパス上の作業を合計すると所要工期と一致する。
安全用語・労災防止の定番記述
出題年:R2(用語)、R4・R6(作業を2つ選んで対策)。保護帽・墜落制止用器具の着用「だけ」はR6で除外指定。
雇入れ時の安全衛生教育:安衛法第59条。作業方法、設備の危険、応急措置などを雇入れ時に教育する。
TBM:作業直前にその日の手順・危険・役割を短時間で確認する打合せ。
熱中症の手当:涼しい場所へ移し衣服を緩め冷却。水分・塩分。意識障害があれば救急要請し無理に飲ませない。
安全管理者の職務:安全に関する技術的事項の管理、作業指揮、原因究明と再発防止、巡視など。
高所作業車:アウトリガ張出し、傾斜・地盤確認、定格荷重遵守、搭乗者の墜落制止用器具、下部への立入禁止。
漏電感電防止:ELB付き電源、使用前テスト、接地、絶縁被覆の点検、活線作業の原則禁止。
移動はしご:上部固定、立て掛け角度約75度、踏さん作業禁止、転位防止、2人作業の考慮。
悪天候:強風・大雨・大雪で危険が予想される高所作業は中止(安衛則)。
酸素欠乏:測定、換気、空気呼吸器等、監視人。マンホール・ピットで特に注意。
移動式クレーン:資格者、定格荷重、アウトリガ、荷下への立入禁止、合図。
開口部:囲い・蓋・ネット、表示。やむを得ず外す場合は監視。
問題4 用語の技術的内容
6語から2語。定義+特徴/原理+用途を3文程度。「知っている語」を選ぶのが得点戦略。
ONU / FTTH / PON
SIP / IP電話
OTDR以外の測定・品質語
ルータ / スイッチングハブ / VLAN / メディアコンバータ
GPS / パラボラ / 衛星TV / 低軌道衛星
セキュリティ系
無線・移動体
ストレージ・端末
放送・防災・暗号
伝送路
問題5 法規穴埋め(覚える数字と語句)
毎年「建設業法」+「労働系」+「通信系法令」。条文の空欄語を選択する形式が中心。
建設業法で繰り返される語
- 請負契約の原則:当事者が対等な立場で公正に締結し信義に従って履行
- 前金払又は出来形部分に対する支払の定め
- 完成の通知を受けた日から20日以内に検査(元請の下請完成検査)
- 元請が支払を受けた日から1月以内で、かつできる限り短い期間内に下請へ支払
- 委託その他いかなる名義かを問わず、報酬を得て完成を目的とする契約は請負とみなす
- 主任技術者:施工計画の作成、工程管理、品質管理その他技術上の管理と指導監督
- 公共性のある重要な工事で請負代金が政令額以上:主任技術者は専任
労働安全衛生・労働基準
- 安全衛生責任者:統括安全衛生責任者との連絡、連絡事項の伝達、関係請負人との連絡調整
- 事業者は労働者が墜落するおそれのある場所、土砂等が崩壊するおそれのある場所等の危険防止措置
- 法律の最低基準を守るだけでなく、労働条件の改善を通じ安全と健康を確保。災害の防止施策に協力
- 高さ2m以上で、悪天候のため危険が予想されるときは作業させてはならない
- 使用者は労働契約の締結に際し労働者に労働条件を明示
- 未成年者に代わって契約を結んではならないのは親権者又は後見人
- 徒弟等の名称の如何を問わず、技能の習得を目的とする者を酷使してはならない
電波法・有線・端末設備
- 端末設備の金属製の台及び筐体の接地抵抗:100Ω以下(安全な場所に危険なく設置する場合は例外)※R1・R5
- 無線局免許申請:電波の型式並びに希望する周波数の範囲及び空中線電力(R2の選択語に注意して条文どおり覚える)
- 特定の相手方の無線通信を傍受して漏らし、又は窃用してはならない
- 高周波利用設備の許可:電線路に10kHz以上の高周波電流を通ずる通信設備等(R6)
- 有線電気通信設備令の保安:絶縁機能、避雷機能その他の保安機能
- 有線電気通信法の技術基準:人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えないこと
当日の戦い方
- 問題1のテーマを見て、用意した型のどれを使うか10秒で決める。
- 工事概要は先に埋める。金額と工期のバランスが極端だと不自然。
- 問題2設問1は一番書ける語を選ぶ。全語を埋める必要はない。
- 工程表は経路を列挙してから数字を書く。暗算だけで飛ばない。
- 問題4は知らない語を避ける。2語完答の方が6語中途半端より良い。
- 問題5は選択欄を先に見て、文の係りを確認してから入れる。
- 誤字はプラスチック消しゴムで消す前提。万年筆・ボールペン不可(R6以降注意あり)。
本ページは令和元〜7年度の公開問題の構成分析と学習用の記述型です。公式の標準解答ではありません。法規の正確な文言は法令で確認してください。